星空とノイズ
こんにちは、壁紙です。
この間、近所の公園で花を撮りがてらあたりももう真っ暗だったので天の川を撮ってみたんですが…
こんな感じです。天の川をしっかり見たのは初めてでした。家の前からは全く見えないのにすぐ近所の公園では肉眼でもはっきり見ることができました。
被写体には満足です。すごくきれいで、川って呼ばれる理由がよくわかります。
ただ全体的にはいまいちなのです。なぜならノイズが目立つから。ざらざらした画面のせいでせっかくの星の煌びやかさが損なわれてしまっているのです。
ということで今回のテーマは星空とノイズと銘打ちまして、星空撮影におけるノイズ軽減のメソッドを考えていきます。
星空は関門
比較明合成をする時とは違って星が動かないようにシャッターを切らなければいけない関係上、ISOが上がりやすくなります。できるだけSSは遅くして感度を低くしようと努めてみましたが、1600くらいが限界でこの写真もISO3200での撮影です。レンズを明るいものにするのもありではありますが、私の手持ちでは18mm(換算28.8mm相当)より広角のレンズがなく、18mmはズームレンズのワイド端なのでF3.5とあまり明るくはないのである程度限界はあります。SSを10秒以上にすると星が動いてしまうので、ISOもつられて上がってしまう形になります。
私としてはとにかく感度は下げたかった…。なぜか。釈迦に説法ですが感度を上げるとノイズが増えてしまうから。
先ほどの写真のズームアップです。編集で軽減をする努力はしましたが、まだ画面の粗さは見ることができます。
ノイズの種類
ひとことにノイズといっても写真に写りこむノイズというのは様々なものがあります。
この写真をオリジナルとして各種ノイズを付けていきます。
1. 輝度ノイズ
これは簡単にいうと「白黒のノイズ」です。実際には名前の通り明るさの違う画素ができてしまうわけです。輝度ノイズが出た写真は基本的に「ざらざら」とした質感になります。一般的な対応策としては周囲のピクセルの色を平均してやるというものになります。
2. 色ノイズ
これは画面に色のついた斑点状のノイズが出るものです。百聞は一見に如かずとも言いますし、さっさと例を載せておきます…。
見た感じではあまり輝度ノイズとの違いはありません。
両者の違いは簡単に言えばカラーのノイズか、モノクロのノイズか、です。
フォトショのノイズを付加する機能でも「モノクロ」という項目があり、モノクロの方は輝度ノイズの呼ばれます。
3. 劣化ノイズ
これは特に画像編集を行った後に起こりやすいノイズです。限界を超えて明度を上げようとすると、データ的に「無理」が生じて、ノイズが発生します。
この画像だと左上などに劣化がはっきりとみられます。
星の写真でもやはり明度やコントラストを無理に上げようとするとノイズが出やすいです。
一般的なノイズ軽減の方法
最近の写真管理ソフトがすげーなとおもうところは、ちょっとした編集もできてしまうことです。さすがに本家本元画像編集ソフトにはかないませんが、露出補正からコントラスト調整、ホワイトバランスまでほぼなんでもできちゃいます。それこそ写真を撮った後に必須となるような微調整なら画像編集ソフトに行く必要すらありません。
そんな中AdobeのLightroomにはノイズ軽減という機能が標準装備になっています。
こちらがホワイトバランス調整に加えてノイズ軽減を最大の設定でやってみたものになります。ノイズはだいぶ軽減されて見るに堪える写真にはなりました。
ただ普通のノイズ軽減では問題があります。
普通のノイズ軽減ではディティールをつぶすことでノイズを目立たなくしています。
ノイズを取りきるのはやはり難しいのですが、変なごまかし方をするせいで寄ってみるといびつな絵になっています。遠巻きで見る分にはあまり目立たないかもしれませんが、やはり解像感は失われる印象があります。
他の方法を考える
普通のノイズ軽減の方法ではノイズが消えるどころか画質の劣化を招きかねないので、ほかの方法を考えてみましょう。
加算平均
これはHDRと似た手法ですが、同じ構図の写真を数枚撮って、ノイズの平均をとることで目立たなくしようというもの。高感度ノイズというのはランダムに出るものなので、平均した画像を取り出すことで一定程度はノイズの軽減が見込めるわけです。またどこかをぼかしたりしてノイズを目立たなくするのではないので、画質の劣化もかなり抑えられることが期待できます。
中央値
これ平均との違いがよくわからなかったのですが、だいたい同じものと考えていいのではないかと思います。ノイズ除去だけではなく、不要物の画面からの除去にも使われるようです。
ダーク減算(ダークフレーム減算)
長時間露光をすると撮像素子っていうのは熱を持ちやすいです。人間が深い考え事をすると頭が熱くなってくるのと同じように機械も何かしらの処理をしているときは少なからず熱を持ちます。カメラでいえば長時間露光は「センサー動きっぱなし」なので熱を持ってしまうわけです。熱を持つと人間なら頭痛になったりしますが、撮像素子は長秒ノイズや輝点というものを出してしまいます。
この輝点というのは暗くても出てしまいます。なぜかといいうと撮像素子由来のものであり、光学的なものではなくて電気的なものだからです。そのためノイズが出るところは一定で、その点ランダムな場所にノイズが出る高感度ノイズなどとは少し性格のノイズとなります。私は今まで出会ったことがありませんがこれが厄介なものだそうで、高感度ノイズなどのように後編集で消すのが難しいらしいとか。唯一このノイズを除去できる有効な手段がダーク減算またはダークフレーム減算といわれるもの。長時間ノイズ・輝点の一定の場所に発生するという特徴を逆手にとって、真っ暗な画像を使ってノイズだけをあぶりだし、その部分だけ引いてしまおう(=減算)というもの。
検証。
後々作業するのは自分ですし、どれくらい効果があるのか自分の目で見てみたいので検証をしてみました。
検証方法
一枚の写真に様々な量のノイズを加えて、それらにノイズ軽減の各手段を適用してみます。
こちらがノイズが乗った状態のオリジナルの画像です。
ブログ掲載上の関係で縮小していますが、ノイズが乗っているのはよくわかるのではないかと思います。この画像を作るのに9枚の異なるノイズ処理をしてあります。この画像に各種編集を加えてノイズ除去をしていきます。
詳細部の確認のため、以上の部分にズームインしてみます。
左上から①、②および③とします。
平均
おお、かなり効果があったみたいです。画面のざらざら感はかなり改善されました。
一応ズームしてみてみましょう。
こちらは①のズーム。全体的にザラつきがなくなり、特に右側の星雲のあたりの解像度がかなり高まっています。通常のノイズ軽減だとありがちな「星が少なくなる」という現象もみられません。
②は画面左下の部分です。こちらでもかなり大きな効果がありました。オリジナルの左下は色ノイズによって黒部分が変な色になっていましたが、平均によってだいぶ改善がなされています。
③は星雲の薄いところです。ノイズによって解像感が大きく左右されそうなパートですが、平均では滑らかさが出ているものの、星雲の繊細さは失われずに保たれています。
平均 - まとめ
思ったよりあっさり結果が出ました。結構いい結果です。元画像にさらにノイズを載せた感じになるので、解像度に限界があるのは承知でしたが、それでも結果はよかったのではないかと思います。
中央値
平均との違いが判らない中央値ですが…とにかく試してみるまではわかりません。
早速ですが、中央値の結果がこちら。
平均値と同様、ノイズはかなり軽減されたようですが…寄ってみましょう。
こちらもやはり平均と同様に解像度を保ったままノイズの軽減に成功しているようです。
②ですが、こちらもいい感じ。若干平均よりも解像感があるような気もしますが…。
色ノイズはだいぶ消すことができました。輝度ノイズはまだ残っていますが、おそらく元画像のノイズが原因かと思います。まあほかの画像でも輝度ノイズは残ったままだったので許容範囲です。
結果の比較
オリジナル、平均と中央値を並べて比較をしてみましょう。
画像が少し小さいですが、ノイズの軽減具合でいうと平均値が、色の保存度でいうと中央値が少し勝っているように思えます。
こちらでも結果は同じような感じ。ノイズの減り具合でいうとやはり平均が優れています。
今回は色ノイズの減り具合に違いが出てきました。中央値を使ったときのほうが色ノイズの減少具合が大きいような気がします。
一方星雲の薄い部分である③では決定的な違いはないように見えます。やはり中央値を使った方が色味がいいような気は心もちします。
結果。
調査の段階であまり大きな違いは見られませんでしたが、実験結果にもあまり大きな
違いは出ませんでした。ただ明確な違いとしてはノイズの減り具合と色の保存度に少しですが、違いが出ました。
今回の実験では同じ写真に異なる方法でノイズを載せたものにノイズ軽減処理をするというものでしたが、これでは正確な結果は出ないと思われます。あくまで今回の結果は参考の範疇に収まるのではないかと思います…。
次回は同じ構図で撮った複数の写真に同様の処理を行って結果を検証してみたいと思います。
それって必要!!?またカメラ機材を買う
こんにちは、壁紙です。
今月もカメラ機材を買おうと考えているのですが、メモがてらこちらに記録をしていきます。
NDフィルター
NDフィルターというのは簡単にいえばカメラのサングラスです。レンズを通る光の量を抑える役割を果たしてくれます。明度が高すぎるときなどにこれを装着することで、明るさをコントロールすることができます。F値が明るい大口径レンズや、長時間露光を日中にやる場合は必須のフィルターです。
このフィルターには大きく二つ種類があって、円形のものと角型のものがあります。
私は今回角型フィルターを購入することにしました。
なぜ「一般的」な円形ではなくて角型を選んだかというと、円形フィルターはレンズに直接取り付ける形になるため、レンズごとにフィルターをそろえてやる必要があります。この点、ズイコーは全部Φ49らしいので楽なのかな…。私の場合は、Φ67, 62, 58, 52, 49のレンズがあるので全部そろえると5枚大きさ違いの同じフィルターが必要です。フィルターは安くても1500円くらいはするので1万円近い出費が計上できるわけです…。一方で角型フィルターはアダプターリング(画像参照)が間に入ってサイズに対応してくれるため、必要なフィルターの枚数を減らすことができます。またG-ND(ハーフND)フィルターに対応しているのも大きなポイントです。
どれを買うべきか…?
今までフィルターは保護フィルター含めて一切買ったことがないので、どれを買えばいいのかなんて皆目見当もつきませんでした。もちろん安いのは「安物買いの銭失い」なんて感じのレビューが多かったのですが、実写レビューなんか見てみるとWB調整と後編集でなんとかなりそうだったし、今まで使ったことがないなら試してみるだけ試してみようと思い、XCSOURCEというメーカーのものを購入しました。こちらは一応角型フィルターとしてはAmazonで売れ筋らしい。
XCSOURCE 角形フィルターセット 8枚 ND2 ND4 ND8 ND16 GND2 GND4 GN8 GND16 9枚金属アダプターリング 1枚ホルダー Cokin P用 LF291
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フラッシュ関係
この項目が一番多くなりそうだったので、ひとくくりにしておきました。ストロボは一応安いのを持っているのですが、今までそこまでガシガシ使うことはありませんでした、しかし最近ブツ撮りを始めとしてポートレートを撮る機会が多いこと、動きを止めるのにストロボを多用することがあり、内蔵フラッシュの光量ではもちろん飽き足らずに外付けをいつも持ち運ぶハメになっています。ところがこのストロボが本当にかさばる。持って行ったからといって必ず使うわけでもないのに単三電池4本を入れているストロボを毎回カバンに忍ばせるのは何となく気がめいります。また外付けでも歩ッとシュー直付け&直射になるので、ポートレートでは絵が最悪。できる限りバウンスが得られる場所で撮るようにしたり、光量を抑えて自然光で頑張るようにしたりと努力は一応していますが、それでもどうしても光量が足りない時っていうのはあります…。なので今まであまり意識しなかったフラッシュ回りの機器をそろえていきたいと思うわけです。
ソフトボックス
私、ボックスって言っちゃいましたが買ったのはリフレクターです。ストロボにつける白いやつね。普通リフレクターっていうとでかいやつになるんですけど…それはモデル撮影でアシスタントの人が持ってる白ないし銀の板です。小さいやつはリフレクターなんですかね。
余談ですが、発光部にかぽっとはめる白いプラスチックの機材あるじゃないですか。あれなんて言うかご存知ですか?ディフューザーです。デフューザーではなくてディフーザーです。どちらも英単語にあるのですが、フラッシュの光をやわらかくする機材とアロマをばらまく機器は「diffuser」の方です。
話がそれましたが、このリフレクターがあるとバウンスさせなくてもいくらかマシな光を出せます。というかまあリフレクターにバウンスさせてるっていう言い方もできますが屋外での撮影になるとバウンスは使えませんし、室内でも天井の色がきつかったり遠かったりする時は現状直射をしています…。
シンプルな機材なのでやろうと思えば自作もできます。紙でもできます。私も今は紙で作ったやつを使っています。が、やはり使ってるとダメになるので、どうせ数百円なら買ってしまおうということでポチリ。
ストロボ(/スピードライト)ブラケット
報道カメラマンが使っているあれ。あれです。いやわからん。。。
私はあいにく見たことがないです。むしろ報道カメラマンっていうとホットシュー直付けじゃない…?
なんていうのは別として、ホットシューってのは光軸の真上、つまり発光するとレンズの中心と同じ位置に向かって光が届くわけです。そうするとどうなるか。影が変な感じになります。特に人の顔を撮ると立体感のないのぺっとした感じの写真になりやすい。
そこで意図的に光軸からストロボを離してやるのがこのストロボブラケットという機材。少し横から光を当てることで陰影をつけることができ、不自然さを抑えることができます。
ちなみにこれを導入しようとすると二つ必要のものがあって…
- ブラケット本体
- オフカメラケーブル
というものが必要です。オフカメラケーブルってのは上記画像でホットシューから伸びているやつです。これが意外と高くて、ただのシンクロケーブルなら1000円もしないんですが、eBayではホットシューのタイプは2000円とかが相場でした。ものにもよりますが、ブラケットはただの金属の板なので1000円もしないものからあります。
ストロボトランスミッター
これはオフカメラケーブルに近い機能を持っていますが、違いとしては無線であることです。したがってライティングの配置に非常に自由度が持てるわけです。オフケーブルはカメラの近くにストロボを据える時に使いますが、トランスミッターは少し離れたときでも使えます。グループ写真でかなり役に立つのではないかと思います。
これもまあまあ値段が張ってですね…安物でも送受信機セットだと2000円くらいからです。特に急ぎの機材ではないので値下げ交渉を十分にしてからでも大丈夫そうです。
予備のストロボ
メインのストロボはNEEWERのNW-670を使っています。サイズ的には純正の中級クラスくらいの大きさがあります。そう、かさばります。なので普段スナップなどをするとき用に小さいストロボが欲しいのです…。
Canon フラッシュ スピードライト 270EX II SP270EX2
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- 発売日: 2011/04/30
- メディア: Camera
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これくらいのサイズが理想的です。が、やはり純正品は少し高い。
この辺のクラスだと値段は3500円くらいから出ています。これくらいなら全然買えます。まあ今のストロボでもフル発光する機会そんなにないし、GN36くらいでも全く問題はないような気がします。まあ気になる点といえばチャージ時間ですか…。
こちらもしばらく現在のストロボを使ってみてそれでもやはり必要ということであれば別途購入したいと思います。
L字プレート
三脚にカメラを縦に据えるときってなかなか垂直にするのが難しいですよね。それに安定性も水平にしているときよりは落ちますし、クイックシューをつけっぱなしだと手に当たって邪魔です。それを解決するのがL字プレートなるものです。
これではないですが、私が購入を検討しているのもまあだいたいこんな感じ。ただの金属の板。
ただこれを導入して三脚に取り付けるには雲台がアルカスイスタイプのクイックシューに対応している必要があるのです。んなん持ってないわ。そこでアダプタも必要というわけで。
これを雲台にカメラを付けるときのようにネジをくるくるっとして取り付けるというわけです。ただ懸念点としては私の三脚はクイックシュータイプなので安定性が損なわれるのではないかという点。ただでさえBGつけてると安定性は下がります。
急ぎではありませんし、本当に必要なのか怪しいところなのでしばらくは保留。
ちなみに私が購入を検討しているもので、二つ買ってだいたい1000円くらいです。
円形フィルター
さっき角型買うって言ったじゃん!
いや角型にもデメリットがありまして…
まずC-PLフィルターというのが角型にはありません。くるくる回して効果を調整するものなので円形である必要があるわけです。
また高濃度NDがやけに高い…。日中の撮影だとND500とかのフィルターを使うのかなと思いますが、ND500やND1000の角型フィルターは高いです。濃度が高いと技術的レベルも高くないといけないのかな…?
C-PLはぶっちゃけ効果に疑問があり、NDもとりあえずは角型で試してみようかなと思っているところです。
…余談ですが。角型フィルターの項で
なぜ「一般的」な円形ではなくて角型を選んだかというと、円形フィルターはレンズに直接取り付ける形になるため、レンズごとにフィルターをそろえてやる必要があります。
なんて吹聴しましたが、ステップアップリングというものを使えば円形フィルターでもコスト面の問題は抑えることができます。
…角型買っちゃったよ。
まあハーフNDはどのみち角型ではないと使えないので仕方ないと。
水準器
これ忘れてました。
私水平感覚が悪くて、撮る写真の9割は傾いてます!!!(おい)
その癖を直したくて水準器を使おうと思ったのですが、X7iには水準器ついてないんですねえ…。残念。
ということで外付けのものを買うことにしました。といってもホットシューカバーの役割を兼ねた簡単な奴。
このタイプは前後左右方向の水準しか取れません。要は縦画面には使えないということ。
Anwenk「トリプルバブル」水準器 (ホットシューマウント) 1個入り Canon & Nikon Pentax デジタル 一眼レフカメラ 用
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このようなタイプであれば縦画面でも付け替えなしで水準をとることができます。その代わり少しかさばりますが。
三脚使用時の水準器としても機能させたいので、両方のタイプを一応購入しました。とはいえ500円しませんでしたが。
まとめ
今回は本当に光に関する機材が多いですね。今まで気にしなかった分余計にそういうものが欲しくなるわけです…。欲を言えば新しいレンズが欲しいのもありますがまあ現状のレンズでほとんどの焦点距離カバーしてるんだから文句は言えない。
というわけで個人的なメモでした。
F値の謎
こんにちは、壁紙です。
皆さん、F値ってご存知ですか?
そう、絞りの開き具合を表すのがF値です。絞りというのは人間やほかの動物でいう瞳孔であす。瞳孔は網膜に届く光の量、絞りはフィルムないし撮像素子に届く光の量を調整しているわけです。
F値が影響を与えるものとしては明度もそうですが、ボケ具合も関係してきます。F値はISO感度、SS(シャッタースピード)と併せて写真作りとは切っても切り離せないものなのです。
F値の難しい話。
F値って、私は最初どういうものか皆目見当もつきませんでした。というのも、F値が高くなればなるほど絞りが小さくなる=レンズを通る光の量が少なくなることはわかっていたのですが、具体的にF値がどのように定められていたのかは知りませんでした…。
そのF値の事実を知ったのは最近のことです。ちなみにF値の「F」とはfuckの隠語 focalから来ていて、日本語に無理やり訳すなら焦点比とかそんな感じになるのかな…。このF値とは言ってみれば焦点距離と開口部の直径の比で、式としてあらわすと、
ああ、難しい。こんな話聞きとうない。
カメラに数学なんてナンセンスだ!なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その実ほとんど数学でできているのがカメラ…。
まあ、まだ続けますけどね。
F値が倍(だいたい1.4倍)になるごとに光量(面積)は半減します。よく考えてみるとF値って変な数値が多いですよね。それ実はの倍数になっているからなんです。この証明をちょっくらしましょうか。
...ちょっと難しすぎる???
F値わかりにくい疑惑
わかると「あ~すげえ」ってなるんだけど、まあ普通はならないと思う。覚えといてほしいのは、「F値が増えると、光量が半分になる」ということ。増えると半分。これが紛らわしい。増えてるのに減ってるって…すごくわかりにくいですよね。
こういうの反比例なんて言ったりしますが、直観的にはF値も一緒に減っていってくれるとわかりやすいような。もっと厄介なのが自分で露出計算するときで、「え~と、F値が増えたから、光は半分の半分の半分だからで…」なんてこんがらがって頭が爆発しそう。
逆にしません?
そこで私が提案したいのが、「(エフオーバー)値」です。単純な話、F値の逆数なだけですが…。計算をするときにはこのFオーバー値を二乗すると面積比がすぐに出せるので、光量の増減が丸わかりです。
というか、そもそもで絞りを表示するのもありなんじゃないかななんて思いますけど。実際私が露出を計算するときは一回このの形に直していますので、最初からこの表示になっていると非常に楽です…。(実際ISOやSSが半分になれば光量も半分になるのでそこの計算は簡単なのですが、F値だけ倍になると光量が半分になるのは本当に紛らわしいです。)
このような直観的に面積比がわかるような表示があってもよさそうですが、残念ながら現時点では「公称F値」というものが台頭しており、ほかの表示方法は普及していません。
そもそも論。
ここまでダルダル数学まで持ち出してきて申し訳ないんですが、正直F値って参考程度にしかならない値なんです。レンズの仕様によっては焦点距離を図る場所が変わってきますし(詳しくは「レトロフォーカス テレフォト」で検索)、レンズが伸びれば伸びるほどフィルム・撮像素子に届く光は少なくなります。なのでF値は写真を撮る上では確実な数字ではなかったりします。
またボケ具合というのも焦点距離やセンサーサイズによって異なりますし、そもそもその焦点距離っていうのも「参考値」くらいだったりするので、F値はほぼあてにならないといっていいでしょう。
この「曖昧なF値」問題を解決するにあたって世の中には「実効F値」や「T値」、「H値」があります。こいつらは光学的要素(レンズの透過率etc.)を考慮しているため、単純に「露出を決める」というプロセスにおいては(公称)F値よりこれらの数値が優位であることには間違いないでしょう。
それでも便利なF値。
先ほど実効F値などの光学的要素を含んでいるとお話ししました。つまりF値には光学的要素は一切含まれておらず、単純に「焦点距離÷有効口径」で求められているわけです。
デメリットはやはりレンズの透過率だとか、実際の光量が考えられていない点です。が、メリットもあってまずは計算が非常にシンプルであるのと、絞りの有効口径が直観的にわかるところです。例えば実効F値というのは同じF値でも焦点距離や撮影距離で絞りの有効口径を変化させることで一定の光量を確保できるようにできています。つまり、同じF値でも絞りの開き具合が違うということ。これが実は厄介なところがあって、開放付近では問題になることも少ないでしょうが、絞りを小さくしたときに回折現象の回避や光芒の量の調整が困難になることが予想されます。その点同じF値では同じ有効口径が担保されている公称F値はそういったことに関しては長けています。
まとめ
F値はかなり広く使われている値ですが、その示す値の有効性に関しては疑問が残るものです。しかし現時点でほとんどのカメラ・レンズが公称F値という、[tex:F = \frac{f}{\phi}という式から求められる値を使っていることから、実用性は担保されていますしかなり特殊なケースでもなければ「有効口径∝光量」と考えてよさそうです。
ちなみにニコンだけは実効F値という焦点距離・撮影距離による光量落ちを考慮したF値を採用しています。しかし公称F値も実効F値も一長一短であるため、それぞれの得意不得意をしっかり把握しておく必要があります。
ライティングにこだわり始める
こんにちは、壁紙です。
今まではスナップを中心に撮っていたのですが、最近はブツ撮りも始めてライティングにこだわり始めました。
最初にとってみた写真。懐中電灯を使い、長時間露光をしながら撮りました。初めてやってみたものにしては比較的満足のいく写真でした。
多灯ライティング…と見せかけて使っているライトはストロボと懐中電灯だけです。SSを5秒くらいに設定して、一人で動き回っていろいろな角度から光を当てることで、一応多灯ライティングと同じ効果が望めます。
ホリゾントに当てているストロボだけ残すとこんな感じになります。
これも人形の影が満足いく暗さになるまで撮影を相当数重ねました。
こちらも数十枚繰り返し撮ってやっと納得のいくものが撮れました。
ライティングの完成度としては満足が行くまでのレベルになりました。が、「表現する写真」にはまだたどり着けません。
カワセミを探しているときにふと見かけた木が目に留まり、写真を撮ることにしました。あたりはすでに日が暮れていましたが、ライティングにこだわるならむしろ好都合。木の力強さ、花の可憐さが上手く表現できたのではないかと。
相変わらず機材はストロボと懐中電灯。ストロボ持って歩き回りました。
現場で撮っているときはこれが一番好きだったのですが、今見返してみると木の力強さは表現しきれていない感じがします。
ライティングにはこだわりまくり、1時間くらいずっと木に張り付いていました。終わるころには外は真っ暗でした…。
ライティングはまだ始めたばかりで、研究も追い付いていませんが、これからいろいろなライティングをかじりつつ自分流のライティングを身に着けていきたいです。
街中スナップ記録【2018/7/】
こんにちは、壁紙です。
先日スナップを撮りに行ったので、その記録をばと。
さて今回の装備ですが、カメラはもちろんEOS Kiss X7i。前日に充電する時間がなかったのでBGはちょっと悩んだけど、重くなるとカメラを持ち続けるのは厳しくなるので思い切ってあきらめました。レンズもまた迷いましたが、この日は単焦点三本に抑えました。いつもは望遠と高倍率2本を含めた5本フルで持ち歩いているのでそれからしたら全然マシです…。ちなみに持って行ったのはタクマー55、YN50とYN35です。これしか持っていないので。
一応時系列で写真を掲示していこうと思います。少し前後あるかもしれませんが、ご了承ください。
最初の写真。何となく流し撮りがしたくなり、目の前の車を撮りました。
なんでモノクロにしたのかはおぼえていませんが…まあそういう気分だったのです。
この写真では奥のジープにガチピン、しかも動きも止められています。が、まあほかの映り込みがあるのはご愛敬です。
ちなみにRAWで撮ると、モノクロにしようがマイカラー設定しようが関係なく同じ写真になります。RAWはあくまでも光の情報を保存しているだけなので。Lightroomで開くとことごとくカラー化されます。興ざめ。
この写真も本当はモノクロで撮ったのですが、Lightroomにしてやられたり。興ざめ。
これは割と完璧なのでは…!
構図におもしろみはありませんが、難のない日の丸構図。トラックは割としっかり止まっています。これ多分シャッター切った瞬間にカメラ傾いてますね。少しぐるぐるが出ています。
お花発見。お花嫌いなんだけど(というか植物全般虫がいるので嫌いです)、撮るのは好きです。
西洋タンポポってよこしまですよね。日本タンポポよりでかくてさらに地面にべぇぇぇって葉っぱが広がっているので日光を効率的に取り込めるとかなんだとか。そのせいで繁殖力が凶暴で、日本タンポポの生活圏を脅かしているとかなんとか。国に帰れ。
話がそれましたが、花だけ撮ってもそんなに映える写真は撮れませんね。かわいいかもしれないけど。
物語性や被写体の状態は背景で表現したいところ。ということで場所をぐるりと変えて道路を背景にしました。うーん、これは微妙だけど、方向性的には間違っていないでしょう。うん、被写体が悪かった。
ファンシーな壁を見つけたので、適当に撮ってみました。適当といっても水平垂直はしっかりとっています。
ガードレールが曲がって面白い形になっていました。構図に生かせるかなと思ったんですが、意外と難しい。
先ほどの写真とほぼ同じところから撮った写真です。垂直は撮れているんですが、斜面の影響で斜めになっているような印象があります。
道端に生えていた花をパシャリ。これは開放かなぁ、確かそうだったと思います。
やっぱり被写体がよくても背景が普通だと見栄えのする写真にはなりません。
別の角度から。うーん、あんまりかわらん。
絞りを調節して、これはだいたいF8くらいです。うーん、花はやっぱり被写界深度浅くした方がきれいに撮れそうかな。
前ボケを入れたスナップショット。これは雰囲気としては悪くないかな。看板の位置は真ん中に来ているので上下対象の構図になっています。珍しく垂直が上手く取れました。
看板が並んでいるのが面白いと思い、3枚ほど撮ってみました。この一枚が一番いいかな。
これは開放で撮っているはず。
流し撮りにまたまた挑戦。感覚がつかめると車くらいのスピード・動きのものは難なく撮れるようになったりならなかったり。
いい感じ。
おお、構図が整ってきた。
ああ、よさげです。
これでもっとびしっと車が止まれば…!
よし来た!!!
構図と流しが同時に決まった一枚。
流し撮りはやっぱり難しいですね…。
遊んでみました。まあ見てわかるとおり、流しのSSのままカメラをぐるっと回すとこんな感じになります。面白い。
一応上下対象になるのかなこれは…。
カラーだと構図にこだわっても被写体の色に気が行ってしまって、なかなか画面全体に意識が向かないような気がします。
構図を極めるならモノクロのほうがいいかもしれない。
撮っていてすごく気持ちのいい位置に車と信号が来ました。特に面白みはないけど、多分黄金比になってると思う。
この一枚撮るために10分くらいトキと格闘してました。目を合わせながら近づくと逃げてしまうので、適当な方向に歩いていく振りしながらじりじりと距離を詰める…。そして石垣にカメラを置きつつ1/10秒以下のスローシャッターで…。なんてね。
モノクロだと味が出るのかなあ…。
また花。花撮るのは好きです。半順光で、ストロボがあれば葉っぱに透明感を出すことができたのかと思いますが、内蔵のものしかつかえませんでした。
これは特に色いじってませんが、白飛びしてる写真を無理やりRAW現像で適正露出に戻しました。
ホント晴れの日は適正露出すぐ変わるから大変よ。陰に入れば暗くなるし、そのまま日向行けばオーバーだし。マニュアルは大変ですねぇ!(歓喜)
後ボケ。開放だとコントラストが下がるのでこんな感じに時計のディティールが損なわれます。プロ写真としては喜ばしくないですが、アマチュアが楽しむ分にはこういう味のある写真のほうがいいかもしれない。あ、俺がアマチュア名乗ると「アマチュア=下手」ってことになっちゃうか。エセ・フォトグラファーです。以後お見知りおきを。
前ボケも。こっちはなんか途端に眠くなりますね。開放だと周辺部の解像は悪いので、このような写真にはタクマーくんはもっぱら向きません。多分F4くらいまで絞ればよくなるけど、そうするとせっかくのボケ味が損なわれるのでやっぱりいやですよねえ。葛藤。
別ショット。こうすればタクマーでも勝負できる。誰と戦ってるんだ俺は。
はい出ました、露出おかしいとすぐモノクロで隠す奴~。
いやでもモノクロだと露出おかしくても目立たないんですよ。これが昔の写真は何となく緩い感じがする理由なのかな。カラーだと白飛びとかさせちゃいけないからね。デジタルも厳しい世界です。
ちなみに露出の補正を現像時にかけているので、写真に無理が出ています。若干ノイズが出ているのわかるかな?モノクロだとこれも色っぽい要因になっちゃうんだから不思議。
ちなみにRAW撮って出しがこれ。まっくら。
Lightroomで無理やり補正。先ほどのモノクロ写真はこれにハイコントラストのモノクロ設定をしただけ。
「リア充爆発しろ」—Kamio Kabegami
いや普通にこのカップルはここでだんまりしてるのに周りの人がせかせかしているのが面白いと思っただけ。本当にそれだけ。
またこうやってカメラをいじめています。ぐるぐるの時に先幕でフラッシュ焚いてます。そうすると、ぐるぐるしながらも花の様子はちゃんと見えるわけ。これはフラッシュ撮影のいろはですね。
写真はイメージ通り撮れないもんです。誰かが「は?写真なんてその場記録するだけなんだから芸術じゃないやん」って言ってましたが、その時その場にいる(某氏)ことが必要なわけです。創造と現実がリンクしないといけない世界なので、そういった意味では一番難しい芸術の分野として写真やフォトグラフィーというのはあるのではないかと思います。…どうですかね?
逆に不意に面白い写真が撮れることも。「自画像」撮ろうとしたらISO上げ忘れててSSがすごく低くなった事故画。いや事故なんだけどなんか面白い。
「決定的瞬間」とやら。アンリ・カルティエ=ブレッソンは本当に尊敬します。こんな感じの写真ありましたよね。「サン=ラザール駅裏」のジャンプしてる人をほうふつとさせます。
ああ、あの写真はひっくり返してみてくださいね。てかカルティエ作品は全部ひっくり返してみると「うわああ!」ってなります。
色を変えてみました。デジタルの吐くモノクロってなんか好きじゃない。
垂直を直しました。基本ができないとどんないい被写体でも上手く撮れないもんです。基本は大事。
別に写真的に面白みはありません。街中で私立高校の発表会的なことやってました。
この哀愁漂う感じいいですね~。
うん。うん。Lightroom死んでれ。
誰がAdobe colorなんて好んで使うんだよ!
外人が撮るとこんな感じ。
日本人はこれ。
開放好きだよね~日本人。
ホントのスナップってこんな感じなのかな。
おじさん見つけて、カメラの設定変えて、構えて、シャッター切るまで3秒くらいだった。流し撮りで少し反射神経鍛えられたかな。
別アングル。タクマーの開放好き。
Bokeh
構図としては…いいのだろうか。
一応対角線構図を狙ってます。あ~構図の話し始めるととたんに写真って理論臭くなって嫌です。いや時々それもいいけどね。
構図はいいけど、光源がそれについてこれなかったパターン。
やっぱり思うようにいかないことのほうが多いです。年1でビビッとくるものが撮れるだけで万々歳。
全体的に悪くなかったけど、二の腕の脂肪が邪魔でMFリングが回りきらなかったパターン。
人間STMにならないとフォトグラファー失格です。
さっきのおじさんゾーン。おじさんいなくなっちゃった。
写りはいいですが、今考えるとこれだけ撮ってもなあって感じはありますよね。
はい、基本に帰れ。
被写体にばれないようにささっと設定して、バッと構えてバチリ。語彙がなくてすみません。
とてもよく撮れたと思います。
似たような別のお店。アンダーですが、ピントはしっかり出てます。
だいぶ飛んで、もう夜です。
帰り際、夕飯前でしたが30分くらい流し撮りしてました。よく撮れたのはこれだけ…。一眼の液晶なんて正直確認にも使えないサイズです。だいたいあとでPCで見れば、ピンボケ・ブレブレ・異物のオンパレード。
そういえば「ヒュンダイ」って「現代」って綴るんですが、本当の読み方は「ヒョンデ」です。현대です。めっちゃどうでもいいな。
標識って光めっちゃ反射するので、内蔵フラッシュのかよわい光でも何mも離れたやつもしっかり反射します。できるだけ露出は抑えて周りを暗く撮るのはある種テクかもね。
まとめ
全然まとまりません。適当に撮った写真を並べただけなので。ただ総論としては、やはり何するにしても基本って大事です。水平ちょっとずれてるだけで写真ってすごくダサくなります。それが私。あとは流し撮りも結構流すだけで構図気を付けない人(←)がいますが、写真は写真ですので。頑張ってカメラ振って構図取りましょう。
最強のスナップの撮り方
こんにちは、壁紙です。
今回は最近見つけた驚異の撮影テクをご紹介します。
その名も「写ルンです」撮り
勝手に命名しました()
皆さん写ルンですってご存知ですか?
もう30年くらい販売されているので、結構知名度は高いと思いますが、知らない人のために簡単に説明すると「使い捨てカメラ」というやつです。
その写ルンですなんですが、究極のシンプル。
なんとまあ!こんなんでまともに写真撮れるんでしょうか…。
現像の悦び
写ルンですで写真撮って現像したことがある方ならわかると思いますが、結構明るさが違う屋外と屋内で撮った写真、それぞれ明るさが極端に明るくなったり暗くなったりすることってないですよね?
これが現像の力。
カメラ屋さんが現像をする際に実は一緒に露出(明るさ)の調整もしてくれています。デジタルで撮影後に露出補正をするとだいたいすごいことになりますが…フィルムは光を記録する媒体であり、デジタルノイズという概念が存在しないので強いわけです。
ここで自分のデジイチを覗いてみる。
さっきの光を記録するという言葉でピンときた方は鋭いです。
そう、かのRAWが果たしている役割は実はフィルムそのもの。
RAWもフィルムも、画像を色情報(JPEGなど)ではなく、光の情報として保存しています。だから両者とも後編集に強いというわけです。
RAW画像は専用に設計された現像ソフト(RAW現像ソフトウェア、英: RAW converter)によって自由に調整・出力が可能で、この処理をフィルムになぞらえて「現像」と呼ぶ。
RAW画像 - Wikipedia
このポイントに注目する人ってあまりいないかもしれませんが、RAW画像を後でいじることを「現像」と呼ぶのはその共通性にあったりします。
露出は後で。
ついに本題です。
私の提唱する「写ルンです撮り」とはズバリ…!
SS 1/50, F/10, ISO 400, 焦点は無限遠付近
これだけ!これをRAWで撮って後で現像するだけ!
簡単でしょ?どの撮影法より簡単だと思います。だって気にするのは構図だけですから。
レンズはやはり標準単焦点が使いやすいでしょう。
最初はSDにたまっていく真っ黒な画像見て心配になりますが、現像してみると意外とちゃんと撮れてます。そこからは結構安心してこの設定でバシバシ撮れます。
実際試してみると、今までないくらい早くフレーミング⇒撮影に移れていることに気づくのではないでしょうか…?
まとめ
実はこれと似たような撮影法をしていた写真家がいました。
かのアンリ・カルティエです。
彼もライカでスナップを撮るときは構図とシャッターチャンスへ全意識を傾けるためにSS、絞り、フォーカス全部固定して撮っていたとか…。詳しい設定はわかりませんでしたが、フォーカスは5mくらいらしいです。
ともかくスナップは一瞬が勝負。AFが迷ったり、露出を気にしていては「ここだ」と思った瞬間を逃しかねません。まあ瞬時に的確な設定をするのも腕のうちという見方もできますが、このように設定を最初から固定してしまうのも一ついいアイディアではないでしょうか。
もし試された方がいれば作例を拝見したいところです…。
それではよいスナップライフを!
きれいなボケとは
こんにちは、壁紙です。
最近一眼が買われる理由としては「ボケがきれい」という理由がありますが、「ボケがきれい」と一体どういうことなんでしょうか…?
世論:ボケが多い=良いボケ
まず一つの要素としてはボケの量でしょう。ボケって多い少ないっていうのかな…?
ボケの量はセンサーサイズが大きいほど多くなります。デジタルカメラで個人向けのものだとフルサイズ(35mm判)が一番大きくなる為、一眼レフが一番多いボケを撮れることになります。(まあといってもEOS Kissなどの初級機~80D/7Dなどの中級機はAPS-Cなのですが…)普通スマホ用カメラのセンサーサイズなんて1/2.3型が一番大きいくらいで、iPhoneなんかは1/3型です。サイズでいうとAPS-Cがフルサイズの半分ほどになりますので、スマホのセンサーなんて比になりません。
これがまあ一眼が売れる大一要因。「一眼はボケる」から売れるわけです。望遠が強いだのなんだのってのもありますが、キットレンズの200mmくらいならコンデジでも十分達成できる焦点距離ですので。画素数でいえば最近のスマホは一眼に迫る画素数持ってるモデルもありますし、結局は一眼の特権であるボケに需要があるみたいです。
絞り開放にしとけばとりあえず”インスタ映え”はします。等倍鑑賞するわけでもないので、多少ピンが甘くなっても問題はありません。
海外の反応
実は海外で「ボケ」というものについて認知されたのはほんの最近の事。「ぼかす」という行為は海外、特に欧米諸国では「あいまいにする」ということとほぼおなじだったようです。実際海外の写真家の作品はボケを殺して背景までばっちりピントが合っているものが多いです。ですが、ここ最近は「ボケ」に対する認識が広まっており、英語でも「ボケ」は「bokeh」と綴ります。
Bokehという言葉
このbokehという単語ですが、見てわかる通り日本語のボケから来ています。つまりスシ、サムライ、フジみたいに日本独自の文化由来です。日本人は「あいまいにする」という行為を意図的に行い、主役の引き立てをしたりすることがままありますが、それと同じ感覚です。英単語にも「ピンぼけ」を表す「blur」などの言葉はありますが、「bokeh」以外の単語がいい意味だけとして使われることはあまりありません。
ちなみに小生海外滞在中ですが、「bokeh」は新しい単語のようでいまいち通じません…。
びっしり並んだものを撮るときはぼかすか否か迷います。この時はあえてぼかすのをやめ、絞りまくって撮りました。これだけでなんとなく日本人っぽくない写真になります…。
状況とどういう写真を撮りたいかによりますが…風景写真を開放で撮るのは得策ではありません。風景では基本的に絞りは絞って、画面全体の情報を伝えきれるようにします。
私は水平が全然取れないのと、画面が広くなると画角が定められなくなるので風景写真は大の苦手です。これはまあまあうまく撮れた写真。Fはやっぱり10とかそれくらいまで絞ってます。
ボケは物量主義か?
答えを先に言いますと、ボケが多ければいい写真っていうわけにはなりません。
ボケが多いということは少し難しいことばを使えば、被写界深度(ピントが合っている範囲)が浅いということです。ということは被写体によっては全体にピントが合い切らず、端のほうがボケてしまうことがあるわけです。ポートレートなんかだったら輪郭がボヤっとして柔らかい印象が出て、それはそれで悪くありませんが、基本的に主役は「ガチピン」というのがルールです。背景がボケている写真は見え映えがするでしょうが、主役までボケボケではなんだか眠い写真になってしまいます。
すごく眠たい写真…手前の人物にピントを合わせるべきですが、被写界深度が浅すぎてうまくいきませんでした。また画面のコントラストが低いのも眠たい要因。撮影はSuper Takumar 55mm F1.8のF値開放です。
F値とは
サラッとこの単語を出しましたが、この記事での意味はボケ具合としましょう。低いほどボケが強いと考えてください。
この値はレンズの中にある絞りが決定します。絞りとは、穴の大きさをコントロールして通る光を調整する、いわば瞳孔のような装置。明るさを調整することはさることながら、ボケ具合もコントロールできます。開けば(F値を低くすれば)ボケは増え、絞れば(F値を高くすれば)ボケは減ります。ほとんどのレンズはこの絞りという装置を備えており、最低・最大のF値はレンズによって違います。
もう言いたいことははっきりしていると思いますが、要はボケは物量ではないということです。必要な時に必要な量だけボケているのが、いいボケ。そのためには「ボケが欲しい」というときでも少し絞ってボケを抑える工夫が必要です。
主役には全体的にしっかりとピントが合っており、眠たさはないですね。
レンズにもよりますが、だいたいレンズの最小F値から2~3段(カメラについてるダイヤルを2~3回カチカチっと回す) 絞れば主役付近の「ボケ過ぎ」は目立たなくなります。この写真はF2.0のレンズで3段絞ってF2.8で撮っています。
また開放で撮ることにはほかのリスクもあり、周辺減光や口径食などの影響も考えられます。この辺はまた小難しい話なので控えておきます。まあ要は写真によくない影響が多いよって話。このブログの名前でもありますが、私はほとんどの場合最低でもF値は2~3段は絞って撮っています。
脇役は脇役で。
さて、「ボケがうるさい」という言葉がありまして、ボケの主張が強すぎたり、形が複雑すぎるとよく「ボケがうるさい」と言われます。
ボケの元の役割を考えてみましょう。「主役の引き立て」こそボケの仕事ですよね?つまりボケは主役より目立ってはいけない、というのが鉄則。脇役であるボケは常に脇役である必要があります。
ボケ過ぎたかなあ…
解像してきました。このくらいなら大丈夫そう。
まとめ
きれいなボケを作り出すには、量をある程度あきらめる必要があります。ここはいかにして妥協点を見つけるかですね。できる限りの量を確保しつつ質は高く保つ…。
またレンズの光学特性によってもボケの質は大きく異なります。一般的にはレンズは少ない方がボケはきれいになるそうです。なのでEF85mm F1.2なんて買う金ない!と思ったらまずはオールドレンズを試してみるのもいいかもしれません。オールドレンズは今では考えられないほどシンプルなレンズ構成を持つものもいるので、いまだに価値はあります。自分でフォーカスしてボケを調整するっていうのもいい体験になるでしょう。
まあ最終的にはオールドレンズ押しになるわけですが...ww 標準レンズでもどのレンズでも弱点があり、弱点はボケに出やすいです。その弱点をいかにうまくカバーできるかがいいボケを生み出すコツです。