開放より2段絞ったところ

徒然なるままに…主にカメラの事を書いていくことになるかと。

きれいなボケとは

こんにちは、壁紙です。

 

最近一眼が買われる理由としては「ボケがきれい」という理由がありますが、「ボケがきれい」と一体どういうことなんでしょうか…?

 

 

世論:ボケが多い=良いボケ

まず一つの要素としてはボケの量でしょう。ボケって多い少ないっていうのかな…?

ボケの量はセンサーサイズが大きいほど多くなります。デジタルカメラで個人向けのものだとフルサイズ(35mm判)が一番大きくなる為、一眼レフが一番多いボケを撮れることになります。(まあといってもEOS Kissなどの初級機~80D/7Dなどの中級機はAPS-Cなのですが…)普通スマホ用カメラのセンサーサイズなんて1/2.3型が一番大きいくらいで、iPhoneなんかは1/3型です。サイズでいうとAPS-Cがフルサイズの半分ほどになりますので、スマホのセンサーなんて比になりません。

これがまあ一眼が売れる大一要因。「一眼はボケる」から売れるわけです。望遠が強いだのなんだのってのもありますが、キットレンズの200mmくらいならコンデジでも十分達成できる焦点距離ですので。画素数でいえば最近のスマホは一眼に迫る画素数持ってるモデルもありますし、結局は一眼の特権であるボケに需要があるみたいです。

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絞り開放にしとけばとりあえず”インスタ映え”はします。等倍鑑賞するわけでもないので、多少ピンが甘くなっても問題はありません。

 

海外の反応

実は海外で「ボケ」というものについて認知されたのはほんの最近の事。「ぼかす」という行為は海外、特に欧米諸国では「あいまいにする」ということとほぼおなじだったようです。実際海外の写真家の作品はボケを殺して背景までばっちりピントが合っているものが多いです。ですが、ここ最近は「ボケ」に対する認識が広まっており、英語でも「ボケ」は「bokeh」と綴ります。

Bokehという言葉

このbokehという単語ですが、見てわかる通り日本語のボケから来ています。つまりスシ、サムライ、フジみたいに日本独自の文化由来です。日本人は「あいまいにする」という行為を意図的に行い、主役の引き立てをしたりすることがままありますが、それと同じ感覚です。英単語にも「ピンぼけ」を表す「blur」などの言葉はありますが、「bokeh」以外の単語がいい意味だけとして使われることはあまりありません。

ちなみに小生海外滞在中ですが、「bokeh」は新しい単語のようでいまいち通じません…。

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びっしり並んだものを撮るときはぼかすか否か迷います。この時はあえてぼかすのをやめ、絞りまくって撮りました。これだけでなんとなく日本人っぽくない写真になります…。

状況とどういう写真を撮りたいかによりますが…風景写真を開放で撮るのは得策ではありません。風景では基本的に絞りは絞って、画面全体の情報を伝えきれるようにします。

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私は水平が全然取れないのと、画面が広くなると画角が定められなくなるので風景写真は大の苦手です。これはまあまあうまく撮れた写真。Fはやっぱり10とかそれくらいまで絞ってます。

 

ボケは物量主義か?

答えを先に言いますと、ボケが多ければいい写真っていうわけにはなりません。

ボケが多いということは少し難しいことばを使えば、被写界深度(ピントが合っている範囲)が浅いということです。ということは被写体によっては全体にピントが合い切らず、端のほうがボケてしまうことがあるわけです。ポートレートなんかだったら輪郭がボヤっとして柔らかい印象が出て、それはそれで悪くありませんが、基本的に主役は「ガチピン」というのがルールです。背景がボケている写真は見え映えがするでしょうが、主役までボケボケではなんだか眠い写真になってしまいます。

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すごく眠たい写真…手前の人物にピントを合わせるべきですが、被写界深度が浅すぎてうまくいきませんでした。また画面のコントラストが低いのも眠たい要因。撮影はSuper Takumar 55mm F1.8のF値開放です。

kabegamikamio.hatenablog.com

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F値とは

サラッとこの単語を出しましたが、この記事での意味はボケ具合としましょう。低いほどボケが強いと考えてください。

この値はレンズの中にある絞りが決定します。絞りとは、穴の大きさをコントロールして通る光を調整する、いわば瞳孔のような装置。明るさを調整することはさることながら、ボケ具合もコントロールできます。開けば(F値を低くすれば)ボケは増え、絞れば(F値を高くすれば)ボケは減ります。ほとんどのレンズはこの絞りという装置を備えており、最低・最大のF値はレンズによって違います。

開放というのはF値がそのレンズが出せる最低のF値です。

もう言いたいことははっきりしていると思いますが、要はボケは物量ではないということです。必要な時に必要な量だけボケているのが、いいボケ。そのためには「ボケが欲しい」というときでも少し絞ってボケを抑える工夫が必要です。

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主役には全体的にしっかりとピントが合っており、眠たさはないですね。

レンズにもよりますが、だいたいレンズの最小F値から2~3段(カメラについてるダイヤルを2~3回カチカチっと回す) 絞れば主役付近の「ボケ過ぎ」は目立たなくなります。この写真はF2.0のレンズで3段絞ってF2.8で撮っています。

また開放で撮ることにはほかのリスクもあり、周辺減光や口径食などの影響も考えられます。この辺はまた小難しい話なので控えておきます。まあ要は写真によくない影響が多いよって話。このブログの名前でもありますが、私はほとんどの場合最低でもF値は2~3段は絞って撮っています。

 

 

脇役は脇役で。

さて、「ボケがうるさい」という言葉がありまして、ボケの主張が強すぎたり、形が複雑すぎるとよく「ボケがうるさい」と言われます。

ボケの元の役割を考えてみましょう。「主役の引き立て」こそボケの仕事ですよね?つまりボケは主役より目立ってはいけない、というのが鉄則。脇役であるボケは常に脇役である必要があります。

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ボケ過ぎたかなあ…

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解像してきました。このくらいなら大丈夫そう。

 

まとめ

きれいなボケを作り出すには、量をある程度あきらめる必要があります。ここはいかにして妥協点を見つけるかですね。できる限りの量を確保しつつ質は高く保つ…。

またレンズの光学特性によってもボケの質は大きく異なります。一般的にはレンズは少ない方がボケはきれいになるそうです。なのでEF85mm F1.2なんて買う金ない!と思ったらまずはオールドレンズを試してみるのもいいかもしれません。オールドレンズは今では考えられないほどシンプルなレンズ構成を持つものもいるので、いまだに価値はあります。自分でフォーカスしてボケを調整するっていうのもいい体験になるでしょう。

まあ最終的にはオールドレンズ押しになるわけですが...ww 標準レンズでもどのレンズでも弱点があり、弱点はボケに出やすいです。その弱点をいかにうまくカバーできるかがいいボケを生み出すコツです。