こんにちは、壁紙です。
先日家の整理をしているときに万年筆を見つけ、いただくことができましたのでその万年筆に関してレポートします。
パット見た感じは、パイロット現行のエリート95sなどに類似する点がありますが、細かく見てみるとペン先形状が違う、装飾が違う…など同じものではないことがわかります。
かなり古い型とあるようで、ネットで検索しても名称がわかりません。見た感じでは1000~3000円クラスの廉価万年筆のようですので名前がなくてもおかしくないかも。
さてもう少し詳しく見てみましょう。
軸の素材は樹脂製で、セルロイドも期待しましたが劣化の状況からみてポリエチレンなどの普通のプラスチックのようです。ちなみにセルロイドというのは、1950年代ごろまで工業製品の中で盛んに利用されてきた樹脂です。吸水性があるので、触れると手に吸い付くような感覚だそうです。材料は硫酸とセルロースということで、劣化すると硫酸が出てきます…。この危険性から1960年代以降はセルロイドはほかの樹脂にとってかわられ、工業材料としての主役の座を明け渡しました。現在でも眼鏡のフレームや万年筆の軸など、触り心地や独特の深みと透明感が評価されて製造が続けられているところもあります。
話が大きくそれましたが、キャップのほうはアルミでできており、万年筆全体はその大きさもあってとても軽くなっています。まあ筆圧をかけなくても筆記が可能である万年筆にとって、軽量であることはある意味至上なのかもしれませんが、ある程度重さがあった方が紙面の凹凸に影響されにくくなるので滑らかな書き心地になりますね。
キャップを軸尻につけると長さは普通の万年筆とあまり変わらないくらいになります。いま比べてみたら、プロフィットのスタンダードと同じくらいの全長でした。日本人にはこのくらいのサイズで何ら問題はないのですが、欧米人や手の大きい人だと軸が小さすぎる可能性はあります。まぁ古いし…
ペン先は詳細は不明ですが、おそらくステンレスニブ+金メッキ処理でしょう。まあ軸に高級感はありませんし、金といったらそれはそれで変です。金ペンは実用性のための選択ではありませんからね。
ペンポイントもルーペで見ましたが、素人目には問題なし。特に欠損などは見られず大事にされてきたペンなのでしょう。光沢仕上げも残っていますねー。これ、見ていて思ったんですが、パイロットは昔から球状のペンポイントが好きなようですね。私の手元にあるカスタム74もペンポイントから他社製より丸っこい印象を受けます。この辺の話は実際どうなのか私にはわかりませんが、機械成型なんでしょうかね?今時万年筆を「実用品」として使っている人なんできっと芸術関係の人くらいでしょうし、どうせなら個体差があってもハンドメイドで作ってくれたらなあなんて思います。まあこの値段の万年筆に求めることではないでしょうが。
さっそくインクを入れて使ってみよう!と思ったのもつかの間、さっそくトラブルが発生しました。自宅にあったCON20(旧型のコンバーター)をセットしようとしたところ、なんと軸に収まりきらなかったのです…!エリート95sも軸が短く、そういうものの場合はCON70などの大型コンバーターは入らないことは知っていましたが、CON20自体さほど大きくないのでこれにはびっくり。たまたまパイロットの純正BBがあったのでそれを差し込んで事なきを得ました。新発売のCON40なら入るのでしょうかね…?手元にはないので検証不可。購入する機会があれば試してみたいと思います。
今回、たまたまいただいた万年筆をレポートしましたが、時代が違うとデザインや設計思想なども大きく異なるので、このような旧型の文具というのは集める価値があります(と言いつつ古い文房具は数えるほどしか持っていませんが…)。パイロットのペンポイントの作り方が現在のものと変わらなかったように、共通点を探ってみるのも面白いかもしれません。