開放より2段絞ったところ

徒然なるままに…主にカメラの事を書いていくことになるかと。

【イヤホンレビュー】KZ BA10・・・★★★☆☆

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こんにちは、壁紙です。

 

三回目のイヤホンレビューになります。

今回はKZ BA10のレビューです。今更感ありますが・・・

 

私にとってのピュアBAデビュー機。

 BA10はKZから発売されたピュアBA(バランスドアーマチュアのみのドライバ構成)としてはAS10に続いて二番目の機種になります。5BA機ということで、廉価イヤホンが多いKZのラインナップの中でも際立ってお値段異常以上なイヤホンです。私が購入したときは2018年の年末セールで、Ali ExpressのKZ Official Storeからの購入です。2019年2月現在改めてサイトをのぞいてみると、だいたい80米ドル前後で売られていますが、私が購入したときは51ドルで買えました。いえい。BA機ってそれまで試聴品を少しかじる程度で印象もよくなかったのですが、まぁKZならどうにかしてくるんじゃねという淡い期待とともにぽちりました。ちなみにZSNもちゃっかり同時購入しています。到着にはだいたい1か月くらいかかりました。ちょっと長いですね。

AS10とのメジャーな違い

 さてKZのピュアBAといったらAS10も思い浮かぶでしょう。え、AS06は知らないなぁ・・・。同じ5BAという構成も相まって、どのように差別化しているのか気になるところですが、大丈夫です、別のイヤホンに仕上がっていますよ。

 まず外見を見てみるとBA10は金属筐体でAS10はプラスチック筐体であることがわかります。どちらがいいとか悪いとかはありませんが、金属の重みがある故BA10のほうが存在感はあります。またBA10のアイコニックなベント穴も差別化のポイントでして、見た目のアクセントになっているだけでなくて空気圧を調節することとで音場を広げたり低音の量感を演出する効果があるようです。

 またドライバの数は同じなんですが、ドライバの配置がAS10とは違います。

 AS10は寒色系ドンシャリホンですが、BA10はどうでしょうか。5BAという構成自体は同じなのですが、ドライバの配置による音質面の違いが気になるところ。

エージング後レビュー

 もう購入して半年くらい経ってしまっているので、エージングは十分できたといっていいでしょう。今のBA10がこれ以上良くも悪くもならない状態であるかと思います。

 全体的な評価としては、暖色傾向の音です。AS10では低音の強さがみられましたが、BA10では低音はむしろ控えめ。一般的なレビューにあった「ドンシャリ」の音作りとは違う印象です。個体差はあるかと思いますが、低音ブーストという感じはありません。個人的な見方ですが、寒色系の音は耳に負担が大きいのでAS10よりもBA10のほうが聴きやすい音であるという印象。

 低音ですが、ほかのKZイヤホンに多いドカドカと鳴らす感じではありません。例えばドラムのキックの音ですが、沈み込みが少なくペシペシ叩いた感じの低音です。音量的に小さいというよりかは、芯がないのかもしれません。ただ、ベースなどの持続的な低音の量感はしっかり演出されていて不満はありません。全体の音バランスを崩すことのない程度の量といえるでしょう。この点は、ドンシャリホンが多いKZとしてはうまくやってきたなという印象。

 中音域が非常に惜しいのがこのイヤホン。ボーカルは遠めの音で、曲によっては聞き取りづらいです。まだこの頃のKZはボーカルの存在感の演出が上手くできていないですね。せっかく低音・高音ともに主張しすぎない程度に抑え込んでいるのに中音が頑張ってくれないので、もったいないことをしたなぁと思うばかり。質感は決して悪くないのでイコライズして聴いていしまうのも手ではありますが。

 高音域はさすがBAを使っているだけあってキラキラ感に長けています。ただし歪み特性が出やすく、音量を上げていくと音がゆがみます。それを狙ったエレキギターのような音とは相性が抜群ですが、レコードからリマスターしたような「あまりよくない音源」で聴くとゆがんではいけないところで「ジリジリ」という音が聞こえます。BAは感度が高いのでノイズにも敏感に反応しやすい特性があるのは仕方ないのですが、BAの設計ないしネットワーク回路の設計で対応すべきところです。この高音域のBAであるKZ 30095は正直完成度が低く、こいつに音量を振ると全体としてのバランスが崩れる傾向があります。この傾向はAS10でも同じくみられたもの。

 音場に関しては、開放型イヤホンとあるだけあって締め付けのない空間表現になっています。言葉を変えれば特段音場が広いわけでもないのですが、窮屈な感じは全くしないので聴きやすい音ではあります。

 定位に関しては、ちょっと微妙かな…。正直AS10の定位感と比較すると、こちらは定位感的にフラットな感じです。鳴り分けがないわけではないのですが、音源の位置感覚はつかみづらい印象。

 そしてなぜかAS10よりは音量が取りづらいです。DD機と同じくらいの出力を出さないと音が小さいです。多分抵抗を噛ませているからだと思うのですが、不思議ですね。

 音の総論ですが、あまり面白い音ではありません。ZS10 Proのレビューの時には同じ曲を何度も聴くのにためらいがありませんでしたが、BA10ではちょっと辛かったですね。まぁこれが普通の感覚なのでBA10がつまらないというわけではありません。高中低の音域で「量感はあまり多くない」と述べましたが、多分ピークがあるのは中低音です。この音域が強いことは悪いことではありませんが、ここだけ強くてもね。音としてはちょっとモコモコした感じがあります。なのでこのイヤホンの音傾向としては中低音域かまぼこ気味のフラットといった感じ。

まとめ

 AS10とBA10の発売は界隈を大いに騒がせました。それもそのはず。今の今までBAの販売特権はほぼKnowlessが持っていたので、名も知れないような中華企業が、しかも普通に買ったら数万するようなイヤホンを1万円を切る価格で販売したのですから、価格破壊です。

 この二機種にはブレイクスルー的なロールが大きく、正直音としてはまだほめられたものではありません。BA特有の面白い音はあるのですが、バランスという話になるとDDを積んだイヤホンには勝てませんね。AS16も気になるところですが、ドライバ構成がほとんど同じで、大きな懸念点である低音BAが変わっていないのは少し残念。ただ高音BAであるKZ 30095は新たにKZ 31736に置換されたので、歪み特性をどう改善したかが気になるところです。もはや格安とは言えない価格帯なので、そのうち聴いてレビューします。

BA10の5BA + 5BA配置には賛否両論ありますが、それは高級機も実際は同じで、BA10の10倍するようなイヤホンでも3BAなどのイヤホンがあるのは結局「増やせばいいというわけではない」という事実の帰結です。ただ一回も聴かずに多ドラの世界への道を閉ざしてしまうのはあまりにももったいない。BAをあまり聴いたことはないがマルチBAが気になっている…そんな方に自信をもってオススメできる格安BA機が出る日がそのうち来るのかもしれません。