開放より2段絞ったところ

徒然なるままに…主にカメラの事を書いていくことになるかと。

HHKB Professional JPを使って思ったこと

こんにちは壁紙です。 先日HHKB Professional JPを中古で購入し、使い始めました。 一部の人々から熱狂的な支持を集めるHHKBですが、他のキーボードと比較したときのメリット・デメリットや工夫すべき点などを長期間使用しながらレビューしていこうと思います。

HHKB Professional JPとは

HHKBはコンピュータ周辺機器メーカのPFU(現在は富士通の完全子会社)が製造・販売するキーボードです。 コーディング用途に重きを置いており、標準的な配列からよく使用されるCtrlキーをCaps Lockの位置に配置するなどの変更をしており、更に矢印キーもFnと特定のキーの組み合わせで入力させるなどの工夫により非常にコンパクトに仕上げています。 キースイッチには静電容量無接点方式を採用することで経年劣化によるチャタリングなどの可能性を著しく抑え非常に高い耐久性とスコスコという独特の打鍵感を実現してます。 その合理的な配列や携帯性の高さからプログラマ・エンジニアを中心に愛用者が多く、発売から25年経った今でも高いブランド力を誇示しています。

HHKBには複数のバリエーションがあります。 2021年12月現在はProfessional HybridとProfessional Hybrid Type-S、そしてProfessional Classicの3種類が展開されており、過去にはProfessional、Professional 2、Professional BTや、メンブレンスイッチのLiteなどが展開されていました。HybridシリーズとBTは無線接続に対応しており、Hybridが名前の通り有線無線両用でBTはBluetooth接続のみに対応します。

私が購入したProfessional JPはProfessionalの日本語配列バージョンとなります。 英語配列に日本語入力に関するキーを追加した他、右Shiftや矢印キーなどが追加されているので、通常の配列により近くなっています。 背面を見ると製造年が書いてあるのですが、2008年製であるようです。 年季は入っていますがもともと耐久性が高いキーボードで、かつ外装を見てもあまりハードに使われて来なかった様子なので調子はいいです。 PCとの接続ケーブルはPC側はUSB Type-Aで、キーボード側はUSB Mini Bです。 かつては周辺機器によく用いられたMini Bですが今ではほとんど絶滅した端子なので純正以外を使う場合ケーブル選びには苦労します。

Realforceとのメジャーな違い

同じ静電容量無接点方式のキースイッチを採用するキーボードで有名なものに東プレのRealforceという製品があります。 静電容量無接点方式を採用するキーボードが他には少ないためHHKBとRealforceはよく比較されるのですが、どのような部分に違いがあるのでしょうか。

まず最も大きな違いとしてキー配列が異なります。 HHKBは標準的なUS配列やJIS配列とは異なる配列を採用していますが、Realforceは標準配列です。 これまで標準的なキーボードを使用してきた人からすればRealforceのほうが乗り換えコストは低くなります。

キースイッチも方式こそ同じですが、全く同じではありません。 HHKBは押下圧45gのものしかありませんが、Realforceには45gのほか30g、55g、そして部位ごとに押下圧のことなる変荷重がラインナップされています。 メカニカルやメンブレンなどの他のスイッチと比べても静電容量無接点方式の45gは押下圧が重い部類となるので、特に赤軸メカニカルキーボードから乗り換える人はRealforceの30gが一番違和感がなく早く慣熟できると思います。

Realforceの方にはAPCという機能がありますが、HHKBにはありません。 APCはAcctuation Point Changerの略で、どれだけキーを押下したら信号がPCに送られるのか調整する機能があります。 静音リングを入れてストロークを短くしたい方にはかなり便利な機能になると思います。 普通に使う分にはなくても不便はしませんが、静電容量無接点方式のメリットの一つがアクチュエーションポイントを電気的に変更できることがあるので、それを享受できるのは良いことと言えるでしょう。

日本語配列か、英語配列

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英語配列
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日本語配列
標準配列のキーボードであれば用途によってどちらを選ぶべきか割と明確に判断できるのですが、HHKBは変則的な配列であるため一概にどちらがいいとは言えないでしょう。

日本語配列のほうが優れている点はキーが多いことです。 英語配列では省略された矢印キーが独立したキーとして配置されているので、矢印キーを多用する人は日本語配列のほうが便利かもしれません。 またMacのように変換・無変換キーでIMEのオンオフを切り替えている人は、英語配列ではそのようなキーがないため少し苦労することになります。 Fnキーが左右両方にあることもメリットになると思います。

英語配列のほうが優れている点はキー配列がより合理的であることです。 日本語配列英語配列をベースに狭いスペースに矢印キーや変換・無変換、半角全角キーをねじ込んだ形になるので特に右側のキー配置に不自然さを感じます。特に残念なのがShiftキーで、上矢印キーの右側にちょこっと配置されているので押しづらいことこの上ありません。

どちらも一長一短なので、実際に店頭で触れてみて好きな方を買うか、英語配列を触ったことがない人はe元素など安いブランドの英語配列キーボードを一度試してみて自分に合うか試してから考えてみるといいかもしれません。

社外ケーブルを使う

純正なのかわかりませんが、購入時に付属したケーブルにかなり大きいフェライトコアがついていて取り回しが悪いのと、Mini Bを使う端末が現状HHKBしかないのでType-Cを使えるようにします。 またいわゆる「尊師スタイル」時にコネクタがラップトップのスクリーンと干渉する問題を解決するためにキーボード側コネクタをL字に変更します。

まずコネクタをL字に横に曲げるアダプタから。 今回用意したのはMini B to microUSBのタイプです。 Amazonを徘徊した限りですとMini B to Type-CでL字型のアダプタはないようですので、一度microUSBに変換してからmicroUSB to Type-Cアダプタで再変換します。

Mini Bアダプタが思ったより配送に時間がかかりそうなので、到着次第記事を更新します。

インプレ

実際に使用した印象を一定期間ごとに書いていきます。 HHKBを使う前のメインはG Pro XのG-PKB-002+Logicool赤軸です。

1週目

自宅と外出先の両方で使用しています。 TKLよりキーがすくないので思ったよりもコンパクトで、更に軽量なことから持ち運んでの使用がはかどります。 ノートPCがチャタリング気味で不便していたので、ノートPCのキーボード上に設置して使う「尊師スタイル」が便利でした。 Macbookは足でキーボードを押してしまうのでキーボードブリッジが必須ですが、Windows機では不要な場合があるようです。

打鍵感は赤軸より重く、前のキーボードは静音リングでストロークを減らしていたこともあり、HHKBの重い押下圧+ロングストロークは慣れるまで非常に不便に感じました。 現在ではなんとかeタイピングの方でもcometが出るようになってきました。 一打一打しっかりとしたフィーリングがあるのは爽快感がありますが、長時間のタイプは疲労を感じます。 慣れによるものなのか、押下圧が重いことが原因で対処不能なのかはゆくゆくわかっていくと思います。

予想外だったのが打鍵音が大きいことです。 今調べてみるとHHKBは打鍵音が大きい部類に入るようですが、静電容量無接点方式は静かだとばかり思っていたので想定外です。 原因は複数あるようで、底打ち音、キートップのガタツキ、スイッチが復元するときの騒音などが挙げられます。 力を抜いてタイプすれば底打ちは改善されますが、図書館など静かな場所ではキートップのカタカタ音も聞こえやすいのでゆっくりタイプするなど少し気を使います。

HHKBの騒音で一番大きいのはキーがバネによって復元したときにプラスチック同士がぶつかることによって生じる音だそうで、これを対策するには一度HHKBを分解する必要があります。メカニカルと違い静音リングはそれほど有効とみなされていないようですが、ストロークを短くして疲労を軽減したり底打ちをなくすことで少しでも騒音軽減になるのではないかと期待しています。 また筐体内での音の響きが案外大きいようで、キーボードの下に100均の滑り止めシートを敷いてみたところ騒音がかなり改善されたので、PFUでも販売している吸振シートは効果が見込めると考えています。 副次的な効果として筐体が安定することでよりしっとりとした打鍵感になることもわかりました。 騒音対策には一考の価値ありのようです。

2週目

1万5000円で買ったHHKBですがあまり使わなくなってしまいました…。 理由の一つとして英語配列キーボードを購入し、それに合わせてOSの方を設定してしまったので日本語配列であるHHKBは逆に使いづらいためほとんど英語配列の方を使っています。 特に英語配列ではIMEのオンオフがCaps Lockであるため、Caps Lockが裏にあるHHKBは不便に感じます。 矢印が裏に入っている点に抵抗は未だ感じますが、英字配列の方が右Shiftも違和感のない配置となっていますし、なぜHHKBを買うなら英語配列とまで言われているのかわかった気がします。

とは言え打鍵感はかなり気に入っています。 メカニカルで近いものを上げれば茶軸だと思いますが、やっぱりそれとも違う独特の打鍵感が病みつきになる感覚は理解できます。 今手持ちのキーボードの中で、「ちょっと何か書いてみるか」という気にさせてくれるのはHHKBだけかもしれません。

先週触れた静音化対策を施すことによって底打ちによるストレス低減や打鍵感向上が見込めるかもしれません。 キーボードの下に滑り止めマットやノートなどを挟むだけでも打鍵感はだいぶ良くなるので、静電容量無接点スイッチ用の静音リングを入れたり、内部にフォームなどを充填することでもっと使いやすいキーボードになる予感はあります。 現にスイッチ自体のスコスコ音はかなり小気味よく、あとはキートップや底打ち時、スタビライザーから出る高周波のノイズさえ対策できれば良いキーボードになりそう。 この辺の静音化はメカニカルキーボードにも通じるところがあるので、よく検討していきたいですね。

ただ未だにキー荷重の重さには苦労しています。 45gという押圧自体は他のスイッチと比較しても軽い部類ではあるのですが、静電容量無接点方式はメカニカルと違いストロークの最初のほうにタクタイル感があるため押し始めの押圧を強くする必要があります。 おそらくもともとメンブレンなどの比較的押圧が高いキーボードを使っていた人からすれば45gは対応し得る押圧なのでしょうが、メカニカルスイッチ―――特に赤軸―――を使ってきた人からすれば疲労を感じやすいのかもしれません。 私は赤軸も1.5mmの静音リングを2個入れることで静音化+ショートストローク化していたので特に慣れないのかもしれません。

細かいところを見れば不満もありますが、コンセプトとしてはHHKBはかなり気に入っています。 英語配列を改めて購入するか検討もしていますが、矢印キーが独立していないことと押圧の問題が懸念点があり決心が付きません。静電容量無接点方式の打鍵感がかなり好みであったことから、リアルフォースの30gにするか迷っています。こちらは英語配列にするか日本語配列にするかが迷いどころ…。

その後

結局HHKBは使わなくなり、別のキーボード(また記事を上げるつもりです)を使うようになりました。 使わなくなった要因は先も述べましたが、配列の不便さと騒音の大きさです。 PCBにテープを貼る静音化対策は試してみて実際効果はあったのですが、静音仕様のHHKBには遠く及ばずといったところです。 普段赤軸のメカニカルを使ってきた私にとってはこの騒音は意外にストレスになりました。 配列問題はシンプルに日本語配列より英語配列の方が好きというのもあるのですが、英語配列には無い矢印キーが日本語配列にはあったりして、重要なキーを圧迫していることが不満でした。 購入当時はFnキーが2つある日本語配列の方が便利だと思ったのですが、実際に使ってみると右端にFnがないのは不便でした。

結語

結果としてHHKB Professional JPは私には合わず、1万5000円を無駄にしてしまう形となってしまいました。 しかし静電容量無接点スイッチとの出会いであったり、英語配列を使うきっかけとなったり、その後のキーボード選びには大いに参考になる部分がありました。 また静音化について調べた知識はこの後購入したキーボードでも実践して、自分なりに使いやすいキーボードを作ることに繋がりました。

今後HHKBを購入することを検討されている方は、英語配列に触れたことがない場合60%の安価な英語配列キーボードで試してみてから検討するなどするといいと思いました。