AppleWatch用ポモドーロタイマーの比較
序文
ポモドーロ法とは、集中して作業に取り組む時間と休憩時間を交互に取る方法です。 一般的に作業時間は25分、休憩時間は5分とされることが多く、1つの作業時間＋休憩時間のセットのことを「1ポモドーロ」とカウントします。 この方法は、作業時間と休憩時間を細かく取ることで、長時間の作業でも集中を持続させることができます。 ポモドーロ法を実践するために、1ポモドーロごとに通知するポモドーロタイマーのアプリや、 BGMを交えたタイマー付きYouTube動画などが公開されています。
iPhoneやiPad向け（そしてAndroid向けにも）ポモドーロタイマーAppは数多く存在しますが、AppleWatchに対応しているものとなると数は限られます。 この記事では『評価基準』に挙げる観点に沿って、「使いやすいポモドーロタイマー」を探していきます。
評価基準
- 作業時間と休憩時間を自由に設定できる
- 数ポモドーロ経過したとき、長い休憩時間を設定できる
- AppleWatch単体でも動作する
- 作業時間や休憩時間の終わりに通知してくれる
- 作業時間や休憩時間の切り替わりを自動で行ってくれる
- 作業履歴を記録してくれる
試したApp
- Focus To-Do
- Focus
- Flat Tomato
- Be Focused
- Flow
- Bluebird
- Timane
Focus To-Do
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- 長い休憩時間の設定が可能
- AppleWatch単体で動作、iPhone Appとも連携
- セッションの自動切り替え（設定あり）
- タスク名を設定して、記録ができる（設定はiPhoneのみ）
悪い点
- AppleWatch側にバイブレーションなどの通知なし
コメント
iPhoneとのシームレスな連携やタスク記録機能が良いです。 またAppleWatchで記録情報を閲覧できる珍しいAppであります。 良い点がたくさんありながら、AppleWatch側に通知が来ないのが本当に残念なポイントです。
Focus
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- 長い休憩時間の設定が可能
- AppleWatch単体で動作、iPhone Appとも連携
- セッション終了時に通知してくれる
- タスク名を設定して、記録ができる
悪い点
コメント
UIが美麗かつ、Apple純正Appのような操作感で使いやすいAppです。 Focus To-Doほどの記録閲覧機能はありませんが、Focusにもその日何ポモドーロ達成したか表示する機能があります。 iPhoneとの同期ラグは2秒程度で、実用上そこまで問題にはならないと思いますが、 iCloud経由で通信しているのがナンセンスです。 またセッション自動切り替えが出来ないため、セッション終了時にはいちいち操作が必要です。 Focus To-Do同様、全体的な完成度が高いだけあって弱点が目立ちます。
Flat Tomato
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- 長い休憩時間の設定が可能
- AppleWatch単体で動作
- タスク名を設定して、記録ができる
悪い点
- iPhoneとの連携なし（タスク名の共有は可能）
- セッション終了時の通知なし
コメント
シンプルなUIで操作感は良いですが、Focus To-DoやFocusなどに及ぶほどではありません。AppleWatch上で様々な設定を行えるのもプラスポイントです。しかしiPhoneとのタイマー連携がなく、セッション終了時の通知もないなど、完成度としては今ひとつです。
<追記 2023/7/3> アップデートがあったのか、セッション終了ごとにAppleWatchがバイブレーションするようになりました。若干タイムラグがありますが、便利になりました。 またTodoistやカレンダーAppとの連携ができるようですが、Todoist連携は私の環境ではできませんでした。
Be Focused
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- 長い休憩時間の設定が可能
- AppleWatch単体で動作（iPhoneとの同期あり）
- セッションの自動切り替え（設定あり）
- 記録あり
悪い点
- 記録は合計時間のみ（タスクごとの時間は記録不可）
- タスクごとにセッション時間を設定不可（一律設定）
- AppleWatch側でセッション終了時の通知なし
コメント
ポモドーロタイマーとしての基本は押さえていますが、やはりAppleWatch側で通知がないのが残念です。 このAppはあくまでiPhoneがメインで、AppleWatchはサブという扱いのようです。 これはAppleWatch側にほとんど設定項目がないことからも言えます。 iPhoneで利用する分には便利なAppですが、AppleWatchでは不便な点が多いです。
Flow
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- 長い休憩時間の設定が可能
- AppleWatch単体で動作（iPhoneとのタイマー同期なし）
- セッションの自動切り替え（設定あり）
- セッション終了時の通知（バイブレーション）
悪い点
- 作業時間・休憩時間は5～10分刻み（カスタム設定は有料版）
- 記録は時間のみ（タスク等の記録不可）
コメント
機能は少ないですが、その分気軽に使えるAppという印象でした。 どの作業にどれだけ時間を使ったか管理したい人には不十分ですが、 作業時間だけ管理できればいい人にはとても十分なAppです。 AppleWatch側の設定項目も豊富で、iPhoneがない状況でも機能をフルに活かせます。 作業時間の記録はできますが、タイマー同期がないため、iPhoneとAppleWatchのタイマーは別々に動作します。 上手に使えば面白い活用法があるかもしれませんが、個人的には同じAppが別の動作をしているのは少し気持ち悪く感じます。 セッション時間の設定が細かくできないなど、無料版の機能制限がきつめなAppですが、 ポモドーロタイマーとして使うだけであれば十分高機能であると言えます。
<追記 2023/7/3> 開発が公開しているロードマップを見たところ、今後タイマー同期やTodoistなどのToDoリストアプリとの同期が実現される予定だそうです。
Bluebird
良い点
- 作業時間、休憩時間の設定ができる
- AppleWatch単体で動作（iPhoneとの同期あり）
- 作業→休憩時間の自動切り替え（設定あり）
- セッション終了時の通知（バイブレーション）
- タスク名を設定して、記録できる（記録閲覧機能あり）
悪い点
- 長い休憩時間の設定不可
- 1セッション終了ごとに操作が必要
- 作業時間は毎回設定が必要（前回設定は引き継がれる）
コメント
このAppはポモドーロタイマーというより、予め決めた時間内は集中するためのタイマーのようです。 連続したポモドーロをこなすためには操作が必要であったり、長い休憩時間を設定することはできません。 良かった点としては、セッション終了時のバイブレーションが長い振動だったため、見逃しが防げそうなことです。 またセッション中に残り時間を増減させることができるのは面白いポイントでした。 光るものはありますが、ポモドーロタイマーとしての使い勝手は今ひとつです。
Timane
良い点
- AppleWatch単体で動作（iPhoneとのタイマー同期なし）
- 時間記録あり
悪い点
- 作業時間、休憩時間の設定不可（25分、5分で固定）
- 長い休憩時間の設定不可
- セッションの自動切り替えなし
- セッション終了時の通知なし
- タスク記録不可
コメント
これまで挙げたどのAppよりも機能が少ないです。 できることも多くありませんが、迷わず操作できるという点ではメリットにもなり得るかもしれません。 ただしセッション時間の設定項目の少なさには不満が残ります。 作業時間、休憩時間の設定はiPhone Appではできますが、そちらでも長い休憩時間の設定は不可です。 また作業時間は記録してくれますが、グラフ表示のような可視化はしてくれない点も微妙です。 総じて使い勝手は良くないAppと言えます。
結語
評価基準に照らし合わせると、最も使い勝手の良いAppは『Flow』でした。 Flowは際立った機能こそないものの、評価基準に挙げた機能を十分に満たしていました。 逆に言えば、評価基準を全て満たせるような、柔軟な設定項目を持つAppはほとんどなかったと言えます。
また調査を行う上で、「集中タイマー」と呼ばれるAppジャンルの中にはポモドーロ法に従うポモドーロタイマーと、1セッションだけカウントするタイマーの2種類が存在することが分かりました。 いずれもApp Storeで『pomodoro』と検索して出てきたAppですので、インストールして使ってみるまではどちらのタイマーなのかは分からないです。
最後に、この記事がAppleWatchでポモドーロタイマーを使いたい人の役に立つことを期待しています。
