【イヤホンレビュー】KZ ZS10 Pro・・・★★★★★
こんにちは、壁紙です。
今回はKZ ZS10 Proを購入したのでほとぼりが冷める前にレビューしたいと思います。
基本情報
KZ ZS10 Proは2019年上半期にリリースされた、1DD + 4BAのハイブリッドイヤホンです。同じ構成を持つイヤホンとしてはZS10やZS7があげられます。5ドライヤホンという点ではBA10やAS10も同じですが、低音用ドライバをDDにしたことでよりパワフルな低音再生が期待できます。その低音用DDはZS10などから刷新された二重磁気回路ダイナミックというものだそうで、出力が従来のKZ製DDから大幅に向上したようです。
開封の儀
さてさて儀式を執り行っていきましょう。私も久しぶりのイヤホン購入で少しテンション高め。今回は日本版Amazonでの購入で、クーポンやら商品券を駆使して実質3500円での購入です。ラッキー。Amazonだと早いし返品対応も安心なのでいいですね。高いけど。
最近めっきりイヤホンを買わなくなったのですが、これまでのKZにあった「死ぬほど取りにくいプラスチック」が改良されて、下の方にツメができました。これで箱をバンバンしなくても中身が取り出せます。
プラスチックを取り外すといきなりイヤホン本体です。イヤホン本体には傷防止のフィルムなどはなくて裸です。輸送時の傷など少し気になりますが、私の商品は大丈夫なみたい。イヤーピースはいつもの絞り菊みたいなやつで、ケーブルはZSNと同じタイプの「Cピン(qdcタイプ)」です。私はBピンのほうがワイヤーがあるので好きです。あとリケーブルの充実度でもBピンのほうが選択肢はCピンよりはるかに多いです。
視聴開始
開封も済んだところで、さっそく聴いてみましょう。
今回の試聴環境は以下の通り。
アンプ:Q1 Mark II
イヤピ:ディープマウント
ケーブル:並のやつ
音源:Apple Music
楽曲:Still Alive/JYP, Target/IZ*ONE, DALLA DALLA/ITZY, JALJAYO GOOD NIGHT/TWICE, FANCY/TWICE, Candy Pop/TWICE, Bohemian Rhapsody
あ、スマホ変えました。まあデジタルアンプなんで変わらないと思いますが。
音源にKPOPが増えたのは私の趣向が変わったからです。ごめんなさい。ボラプはやっぱり比較には使いやすい音源なので今回も聴きます。
エージング前(箱出し)
ケーブル挿してイヤピ変えて最初の30分の出音のですが、かなり期待できるサウンドです。
特にいいなと感じた点は低音域の質感で、二重磁気回路ダイナミックが功を奏したようです。しっかりとした沈み込みがありながら、輪郭は非常にシャープで正直このレベルの低音をイヤホンで聴いたので初めて。この時点ですでに5000円以上の値打ちを感じます。
またボーカル域も原音感のある音で、特に男声パートは「語りかけてくる感じ」が味わえると思います。パクジニョン好きにはたまりませんね。同様にストリングの音も生々しい。いい意味で、です。リアリティのある音です。
一つ気になる点を挙げるとしたら、高音域と中低音域のバランス。AS10のレビューでも言及しましたが、KZのスコーカーであるKZ 30095は少しエッジが立ちすぎています。サ行の刺さりもあります。一方で中低音域は引っ込みがちで、特に女声は芯がないように聞こえます。質感はいいだけあって、量感が足りないのが非常に惜しい。ただ経験則的に、KZ 30095はエージングでマイルドになるので改善されるはずです。
エージング後
正直箱出しでかなり安定した出音だったのでエージングは一時間で終わらせました。
音源は相変わらずChord & Majorさんのものを使いました。毎度お世話になっています。
短時間でしたが、効果はあったと思います。全体的なバランスは変わらぬままですが、高音域のトゲは予想通り和らぎました。相変わらず高音域は攻撃的ですが、刺さりはだいぶ減りました。もう少し時間をかけていけばもっと聴きやすくなりそうです。
またこれにより相対的に中低音域が伸びるようになったため、ボーカルも聴きやすくなりました。物足りなさは個人的にはありますが、クール系のチューニングとしては全くアリなレベル。ZSNのそれに近い感じかもしれません。
音質に関する総論
手放しで絶賛というのも自分の倫理観に反するのでやりたくないのですが、ZS10 Proに関して言えば際立ってダメな点がないので粗探しをしようにもその粗がありません。逆にいうと絶賛できる点も低音の質感くらい。楽器にはずいぶん強くなりましたが、ボーカルの妖艶さを演出しきるにはまだ一歩及ばずというのが本音。ただエレクトリックやダンスミュージックなどの身軽さとバラードのような滑らかさを両立するのは相当困難ですし、試聴対象をいわゆる軽音楽に絞ればかなり優等生です。イヤホンという技術的にもハードルが高い製品に関しては無理にあちこち手を伸ばすよりも一点にフォーカスした方が全体の完成度は高くなる、ということです。
外見・装着感
もはやこっちはあまりメインではないのですが、ZS10 Proはハウジングがキレイです。
フェイスプレートは鏡面仕上げステンレスであり、ステータス性を高めています。まぁこれに関しては反射がかなりきついのもあって好きじゃない人もいそうです。接合部などとってみても今までの「とりあえずやってみた」感があったKZとは一線を画すビルドクオリティです。今回カラーはブルーを頼んでみたのですが、ステンレスの無垢な輝きに透明感のある青は合います。選ぶなら断然青がオススメ。
装着感は、5ドライバ機とは思えない充実っぷりです。あとにも先にも、ここまでドライバを凝縮したイヤホンはあまり見れないでしょう。それもそのはず。筐体はあのZSNと共通ですから。いびつな形なので耳型に合わない人もいるでしょうが、少なくともZSNに関しては小柄さもあって装着感はここ最近のKZイヤホンでも随一なので、多くの人の耳には合うのではないかと思います。装着感で大きく評価を落としていたZS10とは真逆の評価ですね。
まとめ
このイヤホンを一言で乱暴に表現するなら「ZSN Mark II」です。
全体の音作りはZSNそのものといっていいくらいクール系全振りなので、もしこのイヤホンに関して低い評価を見積もる人がいればその人はウォーム系が好きというだけなので、間違っているわけではありません。
ただクール系にステータスを振ってしまったが故に出てくるデメリットも当然あるわけですが、すべてを追求しきって完全フラットまで行ってしまうと面白みのない音になってしまうのでこれは方針としてはアリ。
別記事で詳しいことを書くつもりですが、このイヤホンを聴く限りKZはもう方針を固めたようですね。最近はクール系で固めてくるイヤホンが多かったのですが、現時点でZS10 Proはその頂点といえます。その源流がZSNにあるという点ではこのイヤホンもZSN Proと同様、ZSNファミリーといっても過言ではないのでしょうか。
逆にいうとZS10 Proが示す未来はウォーム系の音作りとの決別です。これまで散発的に乱れ撃ちよろしくイヤホンを発表してきたKZですが、これから先は、少なくともZSシリーズはすっきり系のサウンドテイストに固定化されることは間違いないです。優しい音が好きな人にとってそろそろKZは選択肢に入らなくなるのかも・・・いや、もう入っていないのかもしれませんね。
- 総合評価:★★★★★
- 外見:★★★☆☆
- 装着感:★★★★★
- 音のバランス:★★★★☆
- ロック系:★★★★★
- ジャズ・クラシック系:★★★★☆
おまけ
KZがウォーム系と決別した、という話をまとめでしましたが、実はKZの姉妹ブランドであるCCAから出ているイヤホンはウォーム系が多いようです。KZがハイテンポ曲を得意とするなら、CCAはスローテンポ曲が守備範囲といえるかもしれません。CCAはまだ商品展開が乏しいですが、C10はじめC16など魅力的なイヤホンがありますので機会があれば試してみたいと思います。
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- 出版社/メーカー: CCA
- メディア: エレクトロニクス
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