開放より2段絞ったところ

徒然なるままに…主にカメラの事を書いていくことになるかと。

音響分析してみた。

f:id:kabegamikamio:20190712023057p:plain

こんにちは、壁紙です。

 

今回はWaveSpectraという周波数特性解析用のソフトを使ってみましたのでその所感をば。

 

さてさて、今回測定用に用意したのは以下の三本のイヤホン。

  • KZ ATR (1DD)
  • KZ ZS10 (1DD + 4BA)
  • KZ ZS10 Pro (1DD + 4BA)

測定の目的ですが、まず気になるところが当ブログでリファレンスとしてきたATRは本当にリファレンスとしてふさわしいかどうか。またZS10の無印とProでのチューニングの変更点です。実際視聴してみればわかるのですが、これが数値としてどう出るのかが気になるところ。

 

ATR

まずATRのスペクトルを見ていきます。

f:id:kabegamikamio:20190712023057p:plain

が赤、が青です。

ドライバの個体差を考えると波形が完全に一致することはほぼありませんが、ATR少し大きい誤差が出ました。まあ測定環境も無反響室でやったわけではないので最高とはいいがたいわけですが。

このあと、KZとしては最近リリースした機種の波形もお見せしますが、初期KZのイヤホンは個体差が大きいというのはどうやら本当の話です。

またフラットホンとしてほかのブログでもリファレンスとして採用されていたATR(最近は違うイヤホンになったようですが)もふたを開けてみればかまぼこ傾向が強いイヤホンであることがわかります。

ZS10とZS10 Proの波形を見てうすうす勘づいてはいましたが、こうして実際の数値を見るとリファレンスを変えなければならないのかな、と感じます。

 

KZ ZS10

f:id:kabegamikamio:20190712023643p:plain

ATRとはずいぶん波形が異なることがわかると思います。

また左右の差がATRよりも少なくなっていることにも注目。

まずDDの担当音域である低域はかなりフラットな出音であることが一目瞭然。

高域で谷が目立ちますが、これはおそらくBA間のクロスオーバーの隙です。

ZS10には中域用と高域用のBAが搭載されているため、大きな谷が二つできるのはなるほどな発見。

低域と比べると中高域の音圧は高めですが、そこまで大きな差はないように見えます。

ここまでフラット傾向であるのならばリファレンスとしてZS10を使うのも考えですが、マルチドライバ特有の問題であるクロスオーバーの問題があるため、音傾向だけでは判断できず正直微妙なところ。

 

ZS10 Pro

f:id:kabegamikamio:20190712024127p:plain

ZS10に非常に似ていますが、これも少し違う傾向があります。

DDの再生帯域はあまり変わらないようですが、BAの帯域振り分けに変更があるのがわかります。具体的に見ると、中域BAの帯域が広くなり高域BAの帯域が狭くなっています。ZS10と比べると非常にちいさな差に見えますが、こうすることによってボーカル域の音のつながりがよくなり、より自然な風合いが出るのだと分析します。

確かにZS10 Proのボーカル域はほかのKZイヤホンより頭一つ出ていたことを考えると、納得のいく結果です。

中域は帯域の幅だけでなく音圧も少し高くなっているのも注目点で、高域寄り弱かまぼこ傾向になっているのがわかります。ただこのレベルの周波数特性であれば聴覚的にはほぼフラットといっていいのかもしれません。

 

まとめ

予備知識としてDDとBAの違いは知っていましたが、こうして自分で実際に測定までしてみると全く性質を異にするドライバなんだなと実感します。

本文にはありませんが、DD域とBA域の波を比べてみるとBA域の方が大きく波打っていることがわかると思いますが…これがいわゆる歪み特性というやつです。今回の実験は大き目の音量で行ったので歪み特性が大きく出ました。通常視聴レベルの音圧で実験した場合はおそらくこの「振れ」はもっと小さくなるでしょう。

また日を改めて実験してみたいと思います。